✅ この記事のゴール
・火災保険が使えなくなる “経年劣化トラップ” を回避
・家の劣化を早期発見するチェックリスト
・鑑定人目線で「実際に対象外になりがちなポイント」も解説
放置すると保険の対象外に…。知らないうちに損してませんか?
火災保険は万能の保険ではありません。
実際、鑑定の現場ではこんなケースがよくあります
「台風で雨漏りしたんですが…」 → 調査すると “原因は経年劣化” で保険対象外。
「強風で屋根が剥がれた」 → 実は前から破損していて、劣化扱いに…。
火災保険は “突発的な事故” の損害 が支払い対象であり、
“劣化・老朽化・メンテナンス不足” は補償外 です。
この記事では、損害が出る前に防げる・見つけられる「家のメンテナンスチェックリスト」 を、鑑定人の目線でわかりやすくまとめました。
火災保険が「対象外」になりやすい原因とは?
1. 経年劣化(もっとも多い)
屋根・外壁・防水・雨樋などは年数に応じて必ず劣化します。
劣化が原因の場合は火災保険の対象外になります。
👉「台風の際にベランダから雨漏りがした」という相談で調査に行くと、ベランダのコーキングが劣化でひび割れていたケースがありました。
この場合、台風ではなく 保守不足による剥離 と判断されるため支払いが難しくなります。
2. 事前の破損の放置
小さなひび割れ・浮き・隙間を放っておき、台風や豪雨の後に「壊れた」と申請するケース。
火災保険は災害などで突発的に発生した損害に対して有効です。
→ もともと壊れていた部分は保険の対象外 です。
3. 通気不足・カビ・腐食などの慢性的な症状
継続的な湿気、排水不良、通気不足による腐食は補償対象外。
管理不足による劣化は保険の対象外になります。メンテナンス不足のため災害時に被害が拡大することもあるため、定期的にメンテナンスを行いましょう。
例:
・ベランダ排水口の詰まりによる室内浸水
・換気不良による屋根裏のカビ → 保険外
知らないと損する!家のメンテナンスチェックリスト(部位別)
1. 屋根(半年〜1年に1回)
屋根の劣化は台風時のトラブルNo.1です。早めの発見が重要。
また、雨漏りは被害が大きくなりがちです。メンテナンス不足による雨漏りで保険金が下りないとかなりの出費が予想されます。大変な場所ですが定期的に確認をしましょう。
チェックポイント:
2.外壁(年1回)
ひび割れは雨漏りの原因に。
外壁のコーキング切れを「大したことない」と放置し、台風で雨が吹き込み壁内が腐食 → 劣化と判断され保険対象外になった例があります。
チェックポイント:
3.雨樋
雨樋は見逃しがちな部位ですが、台風による被害報告が多い箇所でもあります。
破損すると外壁に雨水が直撃し被害を拡大させる場合があるので、先に修理りておきましょう。
チェックポイント:
4.ベランダ・バルコニー
ここは雨漏りの原因TOP3に入ります。防水シートなどの剥がれは台風被害と見なされにくいので雨漏り被害を受ける前にメンテナンスしておくのがベストです。
チェックポイント:
5.室内(定期点検)
“室内の違和感” は雨漏りや湿気トラブルの初期サイン。
過去の雨漏りの跡などがある場合、その部分は保険適用外になります。
チェックポイント:
保険請求の際に損をしないポイント
1. 定期的に写真で記録を残す
スマホでOK。まずは「全体」と「アップ」を撮る習慣を。
- 保存と共有:写真は複数バックアップ(スマホ→クラウド/PC)を。保険会社や鑑定人へ送る場合にすぐ渡せると対応が早くなります。
- 撮影の基本:被害箇所の「全体写真(建物の全景や部位の全体像)」→「被害箇所のアップ(損傷の細部)」の順で撮影。
- 比較用に:台風前・メンテ前・メンテ後 の写真をフォルダまたはクラウドに保存しておくと、時系列での比較ができて鑑定がスムーズです。
- 日付の証拠化:スマホの写真はメタデータに撮影日時が残ります。スクリーンショットやメモと併せて記録しておきましょう。
- 撮るべき追加ポイント:落下物の状況、雨樋の内側、基礎付近の状況、屋根の棟部や釘周り(可能な範囲で無理なく)。
2.気になる箇所は早めに修理
放置は“経年劣化”と見なされ、保険適用が難しくなるリスクがあります。
- 修理費と保険の関係:事前に保険会社へ連絡し、修理の可否や鑑定の必要性を確認。保険会社の指示で鑑定が入る場合、勝手に大掛かりな修理をしてしまうと鑑定に影響が出ることがあります。
- まずは応急処置:小さなひび割れやコーキングの切れは、ホームセンターの補修材(シリコン、アクリル系補修材)で一時対処が可能。ただし根本的な修理は専門業者へ。
- 修理履歴を残す:業者に依頼したら見積書・作業前写真・作業後写真・領収書を必ず保存。これらは保険請求時の重要書類になります。
- 修理の順序:被害が拡大する恐れがある箇所(雨漏り、崩落リスクのある外壁・屋根)は優先的に対応。応急処置だけで済ませず、正式な修理計画を立てましょう。
- 自分でやるか業者に頼むかの判断基準:高所作業や構造部(棟板金・基礎・屋根材など)は危険を伴うため業者推奨。簡易なコーキングや排水口の清掃は自分でも可。
3. 保険証券で補償内容を確認しておく
契約内容の把握は“請求できるかどうか”に直結します。
- チェック項目(最低確認しておくこと)
- 風災(台風・強風)に対する補償の有無
- 水災(豪雨・浸水・土砂災害)に対する補償の有無
- 地震関連(地震保険)加入の有無と補償上限
- 免責金額(自己負担が発生する設定かどうか)
- 建物と家財の補償範囲と評価方法(新価か時価か)
- 特約や除外事項の確認:たとえば「床下浸水は対象外」「マンションの共有部分は対象外」など、細かな除外規定があることがあるため、保険証券の「特約・免責・除外」を必ず確認。
- 契約の落とし穴(実例):現場では「水災を契約時に外していた」「築年数に応じた割引で主要補償が外れていた」ケースが見られます。補償が外されていると請求自体ができないので、契約書は購入時だけでなく年に一度は見直すことを推奨します。
- 不明点は記録を:代理店や保険会社に電話で確認した場合は、日時・担当者名・回答内容 をメモしておくと後で証拠になります。
4.定期メンテナンスは業者利用も検討を
定期的な点検・軽メンテナンスは「自分でやる範囲」と「専門業者に任せる範囲」を分けておくのが合理的です。高所作業や配管・防水工事などはプロに依頼すると安全かつ確実。また、業者が作成する点検報告書や作業写真・見積書は保険請求の際に非常に有効な証拠になります。
例えば、戸建住宅向けの軽メンテナンスサービスは、定期点検や小修繕に便利です。
推奨フロー(簡単)
- 年1回はプロによる点検を実施(屋根・雨樋・排水・配管など)
- 点検報告書・写真を保管
- 小修繕は見積を複数取る(不自然に高い業者は要注意)
- 大規模修繕は保険会社へ事前相談(鑑定が入る場合あり)
まとめ|家のメンテは“保険の最大化”に直結します
家のメンテナンスをしておくことで👇
✓ トラブルの予防
✓ 修繕費の削減
✓ いざという時の火災保険適用がスムーズ
✓ 経年劣化と判断されにくくなる
結果として 保険で損しない家づくり が実現します。

